研究データの公開
研究データの公開に際し、ぜひ知っておいていただきたい事項を以下にまとめています。
FAIR原則
FAIR 原則とは、データ公開・共有に関する原則のことで、2014 年にFORCE11 での議論に基づき作成されました。Findable(見つけられる)、Accessible(アクセスできる)、Interoperable(相互運用できる)、Reusable(再利用できる)の頭文字を取った略語で、現在では、データ公開・共有の適切な状態を示す原則として広く認められています。→日本語訳はこちら
永続的識別子
DOI
DOIとは、インターネット上の電子的なコンテンツに対して恒久的に与えられる識別子で、学術雑誌論文等でよく利用されています。研究データに付与されるDOIとして、国際的なDOI登録機関であるDataCiteが登録管理するDataCite DOIがあります。これにより、URLのリンク切れなどを避け、恒久的なアクセスを保証すると同時に、国際的な流通性・可視性の向上が期待できます。
九州大学学術情報リポジトリでは、DataCite DOIを付して研究データを公開することができます。
詳しくは、こちらをご覧ください。
ORCID
ORCID iDとは、研究者に一意に付与される識別子で、国際的な非営利団体ORCIDが発行します。
自身の研究成果にORCID iDを紐づけることで、同姓同名の他の研究者の業績と混同されることなく、所属が代わった場合でも正確に認識してもらうことができます。論文投稿の際には、ORCID iDを登録することを強く推奨します。
詳しくは、こちらをご覧ください。
ライセンス
研究データを公開する際には、利活用促進のため、利用条件を明示するライセンスを付与することをお勧めします。
ライセンスの一例に「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)」があります。このライセンスは、作品を公開する作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません」という意思表示をするためのツールで、論文や研究データ等、インターネット上に流通する様々なコンテンツに付与されています。二次利用に関する意思表示をあらかじめしておくことで、以下のようなメリットがあります。
- 作者:著作権を保持した状態で、研究成果を自由に流通させることができる。
- 利用者:利用する際の条件を、問い合わせることなく容易に把握できる。その条件の範囲内で、再利用・再配布を行うことができる。
- 編集者・プラットフォーマー:転載や利用に関する問合せ対応が省略できる。
QIRでは、研究データ公開の際に、CCライセンスの付与を推奨しています。
オープン・アンド・クローズ戦略
研究データの公開を検討する際、その特性から、公開するもの/非公開にするものの戦略的な判断が重要です。これをオープン・アンド・クローズ戦略と言います。例えば、研究成果の社会実装やさらなる研究推進のために、知的財産として法的な保護が必要な研究データを、戦略上クローズにしておくことが考えられます。