国際シンポジウム「研究データ管理支援に関する機関内・外のネットワーク構築」を開催しました

 研究インテグリティや研究DXの観点から、研究者に研究データの適切な管理や公開が求められる中、大学などの研究組織が研究者を支援するための体制を構築することが必要とされています。しかしながら、一つの部局だけで充分な支援を提供するには限界があるため、関連部局がどのように連携しあうかが課題となっています。また、機関内にとどまらず、研究データ管理支援について研究組織が相互に連携して協力しあうコンソーシアムの体制を取っている地域も増えています。

 弊部門では、2025年10月17日(金)、九州大学伊都キャンパス 理系図書館 大会議室において、コーネル大学図書館の研究データとオープンスカラーシップ部門の責任者であるWendy A. Kozlowski氏をお招きし、「研究データ管理支援に関する機関内・外のネットワーク構築」と題した国際シンポジウムを開催しました。当日はハイブリッド配信を行い、対面28名、オンライン123名の申込がありました。

 初めに、「機関における研究データプログラムの構築:コーネル大学データサービスの事例」として、コーネル大学データサービスの業務についてご講演いただきました。コーネルデータサービス(CDS)は大学全体で研究データサービスを提供するための協力的な取組で、図書館・研究支援・情報の各部門から成り立っています。この組織を支えるための3つの柱として「信頼」「ツール」「管理」のそれぞれの構造について説明がありました。また、CDSは全員が大学内でそれぞれに専門的な職を持っており、CDSへの参加は業務規程にはないボランティアという形で参加していることが、質疑応答でも話題に上がりました。

 次に、「機関を超えた協働:The Data Curation Networkの紹介」と題し、アメリカで現在25の機関が加盟するThe Data Curation Network(DCN)についてご講演いただきました。研究データの適切な公開・再利用のためにはデータをキュレーションする必要がありますが、各大学がそれぞれ試行錯誤していたところから、機関を超えてキュレーター同士が支援し合える場を作るために生まれたのがDCNでした。現在は、データキュレーションのワークフローが整備されており、誰が行ってもキュレーションの質が保証されるとのことです。  パネルディスカッションはKozlowskiさんとともに、千葉大学図書館長の竹内比呂也氏、弊部門・部門長の冨浦洋一氏、研究・産学官連携推進部研究企画課課長の西田洋輔氏が加わり、弊部門の石田栄美氏がモデレーターを務めました。先の2件の講演を受けて、誰がリーダーシップをとるべきか、どのように組織と連携するのか、研究者の必要としていることをどう汲み取るかなど、活発な議論が行われました。

 講演の映像および資料を九州大学学術情報リポジトリQIRにて公開しています。
     https://hdl.handle.net/2324/7405102

研究データ管理ワークショップ「第1回: リポジトリシステムでのデータ公開」を開催しました

国の即時OA方針により、科研費などの競争的研究費制度の助成を受けた研究成果の即時オープンアクセス化への対応が求められる中、データ公開基盤としての機関リポジトリ等の役割がますます増大することが予測されます。

弊部門では、2025年5月19日(月)、九州大学伊都キャンパス 伊都ゲストハウス 多目的ホールにおいて、ウィーン大学コンピューターセンターITサポート部門のRaman Ganguly部門長およびEva Gergely氏をお招きし、リポジトリシステムでのデータ公開についてのワークショップを行いました。当日は全国から35名が参加しました。

今回のワークショップでは3つのセッションに分けて講義と演習が行われました。

「セッション1: PHAIDRAの概要」では、研究データ管理の意義やFAIRデータ原則の説明に続き、ウィーン大学のリポジトリシステムであるPHAIDRAについて詳細な解説がありました。メタデータは、8つの必須項目を含む約80項目があり、アクセス管理については複数の制限公開オプションを選択できる仕様となっています。

続く「セッション2: データ登録の手順と登録されたデータのチェック方法」では、今回のために用意して頂いたPHAIDRAのデモシステムとサンプルデータを用いて、グループに分かれて研究データ登録に必要なメタデータ付与を行い、続けて他のグループが付けたメタデータをチェックするデータキュレーションを行いました。データ内の情報のみで適切なメタデータを付ける難しさに戸惑う参加者が多かったようです。

「セッション3: Data Stewardの概要」では、データ管理におけるワークフローの中でデータ生成、データ受入、データ管理、データ再利用の4つのフェーズがあり、各フェーズにおいてData Champion(データ生成)、Data Steward(データ受入)、Data Librarian(データ管理)、Data Curator(データ再利用)などの役割があるという説明がありました。ウィーン大学ではそれぞれ専門分野に特化したData Stewardが在籍し、研究者や研究支援スタッフを対象としたData Steward養成プログラムの紹介もありました。

今回のワークショップでは実際のリポジトリシステムを用いて演習したことにより、理解がより深まったように感じます。PHAIDRAではデータのアップロードおよびメタデータの入力は実際は研究者が行うため、研究者の意識醸成とそれらを支援する体制の構築が重要だと感じました。

今回の研究データ管理ワークショップは、AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業研究データ管理スタートアップ支援事業の経費により開催しました。

【終了しました】研究データ管理支援ワークショップを開催します「第1回: リポジトリシステムでのデータ公開」【逐次通訳あり】

 九州大学では、ウィーン大学にて情報資源リポジトリシステムPHAIDRAの管理・運営を行っている実務家をお招きし、研究データ管理支援に関するワークショップを行います。
 本ワークショップでは、PHAIDRAの構成や運用、PHAIDRAを用いた研究データの登録方法や登録されたデータのチェック方法を紹介していただき、実際のシステムやデータセットを用いた演習も行います。データの公開に関して具体的にどのような作業が必要かをイメージできるようになることを目指します。

日時: 2025年5月19日(月) 13:00-16:45

場所: 九州大学伊都キャンパス 伊都ゲストハウス 多目的ホール(対面のみ、逐次通訳あり)
*伊都キャンパスマップ(https://www.kyushu-u.ac.jp/f/61490/ITO_1_Jp.pdf)78番

参加費: 無料

定員: 40名 *定員に達し次第、申込を締切ります

参加申込: こちらのフォームからお申込ください。   
 申込締切: 2025年5月14日(水)17:00

主催: 九州大学データ駆動イノベーション推進本部研究データ管理支援部門
共催: 九州大学附属図書館、大阪大学オープンサイエンス推進室

講師:
・Raman Ganguly(University of Vienna, Vienna University Computer Center – Head of IT Support for Research)
・Eva Gergely(University of Vienna, Vienna University Computer Center, IT Support for Research)
モデレータ:
・石田栄美(九州大学データ駆動イノベーション推進本部研究データ管理支援部門 教授)
・甲斐尚人(大阪大学D3センター 准教授)
・神崎隼人(大阪大学附属図書館研究開発室 助教)

プログラム:

時刻内容
12:30開場
13:00-13:05開会挨拶
13:05-14:00セッション1: PHAIDRAの概要
14:00-16:00セッション2: データ登録の手順と登録されたデータのチェック方法
16:00-16:40セッション3: Data Stewardの概要
16:40-16:45閉会挨拶

ワークショップに先立ち、講師を交えた交流会(通訳なし)を行います。
参加希望の方は、参加申込フォームの「交流会」欄にご記入ください。
時間: 10:30-11:30 場所: 伊都ゲストハウス 会議室

<関連シンポジウムのご案内>
 大阪大学オープンサイエンスシンポジウム-オープンサイエンス時代の研究基盤と人材育成-
  https://sites.google.com/ids.osaka-u.ac.jp/datability-platform-research/topic/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A0?authuser=0
  日時: 2025年5月16日(金)13:00-16:00
  会場: ハイブリッド開催(大阪大学附属図書館 図書館ホール および オンライン)
  主催: 大阪大学オープンサイエンス推進室
  共催: 九州大学データ駆動イノベーション推進本部本部研究データ管理支援部門

お問合せ先:
 九州大学 データ駆動イノベーション推進本部 研究データ管理支援部門
 libdx_contact@ml.jimu.kyushu-u.ac.jp

KOOU-RDMスタートアップワークショップ #1 を開催しました

九州沖縄地区国立大学の研究力向上のためのプラットフォームである九州・沖縄オープンユニバーシティ(KOOU)は、2024年8月に4つ目のワーキンググループとなる研究データ管理・利活用WG及び同推進連絡会を設置し、九州地区の大学における研究データ管理・利活用体制構築を支援する取り組みを進めています。

研究データ管理・利活用WGは活動の一環として、2025年2月13日(木)~14日(金)、沖縄県那覇市のオリオンホテルにて、研究データ管理・利活用のスタートアップワークショップを開催しました。

今回のワークショップでは、推進連絡会のメンバーを中心に、研究推進部署やURA、図書館など各大学で研究データ管理に携わる部署の教職員総勢37名が参加し、様々な課題に対する解決方策を議論するとともに、KOOU内での連携体制や今後の活動について検討を行いました。

【開催概要】
日時: 2025年2月13日(木)13:00 ~ 2月14日(金)13:00
場所: オリオンホテル那覇(沖縄県那覇市)
参加者:
KOOU研究データ管理・利活用WG参加大学から9大学28名
事例発表者・金沢大学1名、名古屋大学2名、九州大学2名(オンライン1名含む)
オブザーバ・NII 1名、福岡教育大学3名 など                   計 37名
プログラム:
<1日目>
各大学からの進捗報告、事例紹介(豪州シドニー工科大学、名古屋大学)、グループ討議
<2日目>
事例紹介(金沢大学、英国エディンバラ大学)、グループ討議、今後の活動について
グループ討議テーマ:
 1日目: 大学内での意識醸成・研究者への啓発、データストレージ
 2日目: ポリシーの実効化、データ公開までのプロセス

1日目は、2024年11月に行った情報交換会の振り返り、各大学からの進捗報告、論点・課題整理ののち、事例紹介を行いました。
九州大学附属図書館の佐野直樹氏からは、豪州シドニー工科大学への訪問調査から得られた研究データ管理の支援事例として、同大学のサービスや支援体制の紹介、学内意識醸成の取組などが報告されました。
名古屋大学情報連携推進本部情報戦略室の青木学聡教授と名古屋大学情報基盤センターの淺川槙子特任助教からは、「研究データエコシステム東海コンソーシアム」の支援事業および名古屋大学における事例の紹介がありました。
続いて、テーマごとに分かれてグループ討議を行いました。「大学内での意識醸成・研究者への啓発」のテーマでは実施状況の可視化により評価につながる仕組みの提案などの論点について活発に議論されました。「データストレージ」については、それぞれの状況を共有し、長期運用や容量などについての共通した課題について意見を出し合いました。

2日目の事例紹介として、金沢大学先端科学・社会共創推進機構の長井圭治特任准教授からは、金沢大学学術データポリシーの改訂とその実施細則・ガイドラインの策定についての紹介がありました。
九州大学附属図書館の岡村菜々子氏からは、英国訪問調査で収集したエディンバラ大学における研究データ公開・オープンアクセスの事例が報告されました。
続くグループ討議は「ポリシーの実効化」と「データ公開までのプロセス」に分かれて行いました。「ポリシーの実効化」のグループでは、異動する教員のデータの取扱、図書館・研究推進・情報システムそれぞれの協力体制などについて意見交換がありました。「データ公開までのプロセス」では、研究データの公開に関して具体的な例をあげて話し合われました。

ワークショップの終盤では、今後の活動として、各大学での研究データ管理に関する事例を出し合い共有することや、KOOU内の持ち回りで勉強会などを行っていくことが提案、合意されました。次回は大分大学を当番として開催予定です。

2日間にわたるワークショップを通じて、大学や部署を超えた、対面ならではの密度の濃い交流ができ、KOOUの他のWGとのコラボレーションのアイディアも出されるなど、さらなる発展に向けて非常に有益な機会となりました。

今回のKOOU-RDMスタートアップワークショップ #1は、AI等の活用を推進する研究データエコシステム構築事業研究データ管理スタートアップ支援事業の経費により開催しました。

国際シンポジウム「大学における研究データサービスの導入と展開」の資料と動画(日本語版と英語版)を公開

2024年10月11日に開催した国際シンポジウム「大学における研究データサービスの導入と展開」の資料と動画(日本語版と英語版)を公開しました。

資料及び動画は下記URLからアクセスできますので、ご利用ください。
https://hdl.handle.net/2324/7238303

【終了しました・資料公開】国際シンポジウム「大学における研究データサービスの導入と展開」【同時通訳あり】

 この度の国際シンポジウムには多くのご参加をいただきありがとうございました。講演時のスライド資料を公開しております。下記プログラムのリンクからご覧ください。後日、講演の動画を公開いたします。


 この度、九州大学データ駆動イノベーション推進本部研究データ管理支援部門は、国際シンポジウム「大学における研究データサービスの導入と展開」(同時通訳付)を開催いたします。政府からの学術論文や根拠データの即時オープンアクセスの方針が示される中、各大学においてもそれらの環境・支援体制の整備を進めることが求められています。本シンポジウムでは、米国ニューヨーク州立大学バッファロー校と英国エディンバラ大学の研究データサービスの実務家を招聘し、先進的な事例をご紹介いただくとともに、日本における課題を議論し、日本の大学において必要な研究データサービス、またそれらを実現するために必要なことについて皆で考える機会としたいと思います。なお、本イベントは対面とオンラインのハイブリッドで開催します。参加者同士で情報交換できるよい機会ですので、多くの方の対面でのご参加をお待ちしております。

日時:2024年10月11日(金)13:00~17:00(情報交換会 17:10~18:00)

開催形態:ハイブリッド形式(同時通訳付)
 対面:九州大学伊都キャンパス 稲盛財団記念館 稲盛ホール
 オンライン:Zoom(後日URLをメールでお知らせします)

対象者:大学図書館職員、研究データサービスに携わる関係者、研究者、情報管理を学ぶ学生、その他どなたでも可

参加費:無料

定員:対面80人、オンライン200人

参加お申込:申込フォームからお申込み下さい 。
 申込〆切:2024年10月8日(火) 23:59

主催:九州大学データ駆動イノベーション本部 研究データ管理支援部門
共催:九州大学附属図書館・大学院統合新領域学府ライブラリーサイエンス専攻
後援:九州地区大学図書館協議会

プログラム

時刻演題・講演者等
12:30開場
13:00-13:10開会挨拶
13:10-13:25趣旨説明 資料
- 石田栄美(九州大学データ駆動イノベーション推進本部研究データ管理支援部門)
13:25-14:15講演1「学術図書館における研究データサービスの変遷: パーデュー大学、ミシガン大学、ニューヨーク州立大学バッファロー校での経験から」 資料
- Jacob R Carlson(ニューヨーク州立大学バッファロー校図書館 研究・コレクション・アウトリーチ担当アソシエート・ユニバーシティ・ライブラリアン)
休憩
14:25-15:15講演2「エディンバラ大学における研究データマネジメントの開発、運用、評価、及びその内容」 資料
- Robin Rice(エディンバラ大学図書館 大学コレクション部門データライブラリアン兼研究データ支援サービス部長)
- Simon Smith(エディンバラ大学図書館 大学コレクション部門研究データ支援オフィサー)
15:15-15:30講演3「日本の大学におけるオープンアクセス及び研究データ管理・公開支援の課題」 資料
- 竹内 比呂也(千葉大学副学長・附属図書館長)
15:30-15:45講演4「九州大学における研究データサービスの課題」 資料
- 冨浦 洋一(九州大学データ駆動イノベーション推進本部研究データ管理支援部門)
休憩
15:55-16:55パネルディスカッション
16:55-17:00閉会挨拶
17:10-18:00情報交換会(希望者のみ)
※プログラムは予告なく変更することがあります。

「研究データ管理スタートアップ支援事業、はじめます」

2024年度「研究データ管理スタートアップ支援事業」に、本学が九州地区の拠点大学として採択されました。

同支援事業は、国立情報学研究所(NII)の「AI等の活用を推進する研究データエコシステム事業」(2022-2026年度)の下に展開されているもので、地区の拠点大学が中心となって、地区内の機関における研究データ管理・利活用の支援体制構築等のスタートアップを支援していきます。東海地区と北陸地区では、すでに2023年度から、名古屋大学と金沢大学が拠点となって取り組みが行われており、2024年度から、九州地区においても開始することとなりました。
研究データ管理支援部門が中心となり、まずは、九州地区での情報交換会など、ニーズ調査・事例調査を行うところから進めてまいります。

参考)
「AI等の活用を推進する研究データエコシステム事業」
「研究データ管理スタートアップ支援事業」